Department of Immunology,
Graduate School of Biomedical and Health Sciences

2021.05.15

保田教授がテレビ朝日サタデーステーションで自己増殖RNAワクチンについてコメントしました。

2021年5月15日

テレビ朝日サタデーステーション 「ニュースのあや」 

「少量でも効果に期待!? 国産の次世代ワクチン」

VLPセラピューティクスが開発を進める自己増殖RNA(レプリコン)技術を用いた新しい新型コロナワクチンについてコメントしました。

動画はこちら。

学生さんから質問があった点について補足します。(質問)体内ではPCRのように温度を98℃にしたりできないので、mRNAを増幅させる方法が分かりません。自己増殖性mRNAワクチンの説明で出てきたコピー機が何なのか気になりました。

(回答) RNAの自己増殖にはウイルスがもつポリメラーゼを利用します。ヒトの体の中にあるポリメラーゼはDNA(ゲノムの遺伝子)を鋳型にしてRNAを作る酵素で、RNAを鋳型にRNAを複製することはできません。そこでRNAを鋳型にRNAを複製できる、一部のウイルスがもっているRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)という遺伝子のmRNAをスパイク蛋白のmRNAと一緒にワクチンとして打てば、少量のRNAですむという話でした。PCRではプライマーを剥がしてくっつけてを繰り返すために何度も繰り返し98℃付近にし、それによってDNAが指数関数的に増殖します(鋳型が2の倍数で増えるので)。RdRPでRNAを自己増殖させるときはこれができないので直線的に増殖します(鋳型の数は変わらないので)。RT-PCRの実験で逆転写酵素を使ってRNAからcDNAをつくったことはありませんか?このときもやはりウイルスで見つかったRNA依存性DNAポリメラーゼという酵素を使用してRNAを鋳型にcDNAを増やします。同様に50℃ぐらいでコピーしているだけなので直線的にしか増えません。