2025.08.12
河野先生の論文がCell Death and Disease誌に掲載されました
2025年8月12日
「IL-6-C/EBPβ signaling drives monocytic differentiation of murine cultured lymphoid progenitors with immunoregulatory properties」
要約: リンパ系前駆細胞は、in vivo(生体内)で予想外の可塑性を示すことが知られていますが、in vitro(試験管内)条件下での骨髄系細胞への分化は、これまで主に人工的な現象または生物学的に無意味なものとして退けられてきました。その結果、これらの細胞の機能的特性は十分に解明されていませんでした。 本研究では、培養された共通リンパ系前駆細胞(cCLPs)が、IL-6-C/EBPβシグナル伝達を介してCD11b⁺CD115⁺の単球様細胞(cCLP-Ms)へと分化することを示しました。分子および表現型の解析により、cCLP-Msは自然免疫センサーの発現や貪食能力など、骨髄系細胞の基本的な特徴を獲得する一方で、骨髄由来マクロファージ(BMDMs)とは異なる特性、例えばMHCクラスIIの発現低下やTNF-α産生の減少など、独自の特徴を保持していることが明らかになりました。 機能的には、cCLP-Msは免疫調節機能を示し、養子移植によってIgE媒介性の皮膚アレルギー性炎症を効果的に抑制しました。これらの知見は、リンパ系前駆細胞の可塑性を強調するとともに、骨髄系分化のメカニズムを解明するための強力なプラットフォームを提供します。このシステムは、造血細胞系譜の柔軟性に対する理解を深め、免疫調節や炎症における治療応用の可能性を探るための基盤となります。
プレスリリースで解説しています。
“リンパ球の赤ちゃん”がマクロファージに変身!—免疫細胞の柔軟性解明と新たな治療法となる可能性を発見—
本研究成果のポイント 炎症時などに分泌される物質「IL-6」によって、本来リンパ球になるはずの細胞が、マクロファージに変化することを発見しました。免疫細胞が柔軟に姿を変える性質(可塑性)の解明と、がんなどの疾患に対する新しい治療法開発に貢献する可能性があります。