2025.02.25
田村さんの論文がFrontiers in Immunology誌に掲載されました
2025年2月25日
「B7-H3とLAG3の共発現はヒトのCD4+ T細胞の細胞傷害性を示す」
要約: 最近の研究では、細胞傷害活性を持つCD4+ T細胞(CD4 CTL)が抗腫瘍免疫に寄与する可能性が強調されている。しかし、その正確な役割は依然として不明であり、その理由の一つとして、ヒトにおいて標的殺傷能を持つCD4 CTLを定義する特異的マーカーが存在しないことがあげられる。我々は以前、エプスタイン・バーウイルス(EBV)誘導性不死化B細胞株が、細胞傷害性CD8+ T細胞(CD8 CTL)に匹敵する細胞傷害性機能を持つヒトCD4 CTLを効率的に誘導することを実証した。本研究では、EBV誘導性CD4 CTLはCD8 CTLと比較して増殖が長く、細胞傷害性も持続するが、長期培養中に細胞傷害性機能は著しく低下することを示す。さまざまな細胞傷害活性を持つCD4 CTLの比較トランスクリプトーム解析により、B7-H3およびLAG3が高度な細胞傷害性CD4 CTLに関連する表面分子として同定された。 B7-H3とLAG3の共発現はCD107aの発現と相関しており、標的依存的に細胞傷害能が増強されたCD4+ T細胞で観察されたが、CD8 CTLでは観察されなかった。さらに、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の小児患者の骨髄細胞との共培養中に、B7-H3+LAG3+ CD4+ T細胞が誘導された。これらの知見は、B7-H3とLAG3の共発現がヒトにおける機能的CD4 CTLの特徴的な特性であることを示唆しており、腫瘍免疫におけるCD4 CTLの役割に関する貴重な知見を提供する。