2024年9月20日
「Eed 依存性ヒストン修飾は iNKT 細胞発達プログラムを調整し、肝臓障害を軽減する」
要約: ポリコーム抑制複合体2(PRC2)は、ヒストンH3のリジン27のトリメチル化(H3K27me3)を担う、進化的に保存されたエピジェネティック修飾因子です。これまでの研究では、PRC2はナチュラルキラーT細胞(iNKT)の発達と関連付けられていましたが、その生理学的かつ正確な役割は未だ解明されていませんでした。この問題を解決するため、我々はマウスT細胞においてPRC2のコアサブユニットであるEedを特異的に欠損させました。その結果、Eed欠損マウスではiNKT細胞数、特にNKT1細胞とNKT17細胞が著しく減少する一方で、通常型T細胞とNKT2細胞は健全な状態を維持することが示されました。Eedの欠損はiNKT細胞の分化を阻害し、細胞死の増加につながり、H3K27me3レベルの著しい減少とZbtb16、Cdkn2a、Cdkn1aの異常発現を伴っていました。興味深いことに、Eed欠損マウスはアセトアミノフェン誘発性の肝障害および炎症に対し、iNKT細胞依存的に高い感受性を示しました。これは、肝臓常在性iNKT細胞におけるEedを介したH3K27me3標識の重要な役割を浮き彫りにしています。これらの知見は、iNKT細胞特異的な転写プログラムのエピジェネティックな統合制御に関する更なる知見をもたらします。
Guo, Y., Ohki, S., Kawano, Y., Kong, W.S., Ohno, Y., Honda, H., Kanno, M., and Yasuda, T. Eed-dependent histone modification orchestrates the iNKT cell developmental program alleviating liver injury. Front. Immunol., 15, 1467774, 2024. doi: 10.3389/fimmu.2024.1467774