2024年2月2日
「家族性血球貪食性リンパ組織球症の治療に向けた自家記憶T細胞の精密なCRISPR-Cas9遺伝子修復」
要約: 家族性血球貪食性リンパ組織球症(FHL)は、重度の全身性過炎症を特徴とする遺伝性免疫不全症であり、しばしば致死的となる。同種骨髄移植は治癒につながる可能性があるものの、より効果的な治療法が緊急に求められている。FHLは、細胞性免疫を制御するタンパク質の不活性化変異によって引き起こされる。本研究では、アデノ随伴ウイルスをベースとしたCRISPR-Cas9システムと非相同末端結合阻害剤を用いて、長寿命が期待されるT細胞におけるこのような変異を体外で修復した。修復されたCD8メモリーT細胞は、パーフォリン1(Prf1)欠損によって引き起こされるサブタイプであるエプスタイン・バーウイルス誘発性FHL2のマウスモデルにおいて、致死的な過炎症を効果的に治癒した。さらに、FHLの重症患者2名から採取した変異メモリーT細胞において、原因遺伝子のPRF1およびMunc13-4(UNC13D)の修復により、T細胞の細胞傷害性が回復した。これらの結果は、修復された自己T細胞を用いた遺伝性T細胞免疫調節異常症候群の治療の出発点となる。
Li, X., Wirtz, T., Weber, T., Lebedin, M., Lowenstein, E.D., Sommermann, T., Zach, A., Yasuda, T., de la Rosa, K., Chu, V.T., Schulte, J.H., Müller, I., Kocks, C., and Rajewsky, K. Precise CRISPR-Cas9 gene repair in autologous memory T cells to treat familial hemophagocytic lymphohistiocytosis. Sci. Immunol., 9, eadi0042, 2024. doi: 10.1126/sciimmunol.adi0042
