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2023.04.11
下岡清美さんらの新型コロナウイルス広域中和抗体の論文が掲載されました。
2023年4月11日
従来の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは、出現する変異ウイルス株に広く有効な“広域中和抗体”をつくりだすことが難しく、ワクチンに使用された系統とは異なる新型コロナウイルスに対しては効果が低下することが知られています。
新型コロナウイルスの変異に対して強い効果を示す広域中和抗体が産生される仕組みと作用機序を明らかにすることを目的として、新型コロナウイルス初期株に感染した人から取得した抗体の中で、これまで出現した変異ウイルス株の大半を中和する広域中和抗体を特定し、X線結晶構造解析と呼ばれる手法を用いて詳しく解析しました。
広域中和活性を有する抗体は複数のアミノ酸置換が抗原認識部位に生じていました。そのため標的ウイルス分子と広い領域で相互作用することが可能となり、ウイルス変異による免疫逃避を阻止していることが遺伝子解析や立体構造解析などから明らかになりました。抗体がウイルス抗原に応じてアミノ酸配列を変化させるには、持続的な抗原暴露による免疫反応を必要とします。そのようなワクチンデザインによって広域中和抗体を人為的に誘導できる可能性が考えられます。本研究成果は、ウイルス変異に有効なワクチン開発やウイルス感染者の重症化を阻止する医薬品開発などに役立つことが予想されます。
本研究は、ネイチャー・ポートフォリオによるオープンアクセス国際学術誌「Communications Biology」誌に掲載されました。
<発表論文>
論文タイトル:Structural basis of spike RBM-specific human antibodies counteracting broad SARS-CoV-2 variants.
掲載雑誌:Communications Biology, 6, 395, 2023.
DOI番号:
10.1038/s42003-023-04782-6
研究成果の詳細はこちらです。